井戸を掘り、用水路をつくった医師
アフガニスタンで活動されていた中村 哲医師が凶弾に倒れたというニュースはショッキングなものだった。医師として紛争で荒廃した地で活動をはじめたが、水不足からくる伝染病はワクチンでは救えない。医療は処置であって根本的な解決に繋がらない。そこで現地の人と井戸を掘り、用水路をつくったのだ。注目できるのはそうした着想を得て土木・灌漑の専門家に任せる(勿論そのような人材がいなかったかもしれないが)て自分は医療だけをやっていくという道をとらず、より重要だと思われる方向にいわばシフトチェンジをおこなっている点である。人助けを自分のものとしておこなうということでいえば、医師であっても、井戸掘り人夫であろうと十分な充実感をもって活動されてきたことは明らかで、医師なのにとか発想してしまう自分の意識の乏しさも感じる。中村氏のまねはできないけど、その視点、行動力や粘り、自分の専門にこだわらずにやっていくこと(柔軟性)などいろいろこの井戸から汲んでいくことは本当に多い。このような形で命を終えられたことはまことに忍びない。